ネクロフィリアとは『死体愛好』のことを指す言葉だ。 数あるパラフィリア(異常性愛)の中でも、かなり厄介な性癖の一つ に数えられると思う。 欲求を完璧に満たそうと思えば、ここ日本では何かしらの法を侵すことになるのだから厄介以外の何者でもないだろう。 仮に殺人が合法であったとしても、通常教育を受けた成人が愛する人や恋人を己の欲求を満たす為に殺したいと思うだろうか。少なからず俺は思えなかった。 だが、生物である以上、性欲は付き纏う。 そしてその 性欲の根源がネクロフィズム なのだ。 愛する人を「護りたい」という感情は倫理観よりもっと原始的な、雄として生きる上で雌に抱く純粋な感情だろう。 俺はこれほど単純でこれほど尊い感情はないと思っている。 そして、愛する人を「殺したい」という性愛も心の奥深くには介在している。 愛する人を「護りたい」純愛と「殺したい」性愛の葛藤 。 だから辛いのだ。 ネクロフィリアとはとても苦しい性癖なのだ。 一昔前までは、ネクロフィリアは精神疾患として扱われていたらしい。 その心理には “母親への抑圧された憎しみ” があるとの事だ。 ここで少し俺の話をさせてもらおう。 先の理論の真偽は分からないが、実際に俺が最も女性の死体を渇望していた18歳〜22歳頃を振り返ると前文で論じた心理に当て嵌まる。 母親という自分にとって絶対的な存在に対して、口に出せない憎悪を持っていたように思う。 しかし幸いにして、今では母親とも打ち解け、 それに起因してか以前ほど死体に対する強烈な性衝動も起こらなくなった。 何度か性欲と別の所で自分と向き合う機会があったからだと思う。 とはいえ、小学校に進学する前、 まだ異性に恋をするといった感情が芽生える以前からネクロフィリア気質のようなものは自分の中にあったと記憶している。 というのも、その当時大好きだったポケモンのキーホルダー(宝物)を冷凍庫で凍らせ、その氷を叩き壊すように投げつけてボロボロにしてみたり、 同じく大好きで大切にしていたウルトラマンの人形を飼っていた犬に噛ませてわざと穴だらけにして喜んでいたりしたのだ。 もしかしたら幼少期は誰でもそうした一面があるのかも知れないが、今思い出すと自分で自分が少し不気味に思うのだ。 なんとなくネクロフィリア...